横向温泉 上ノ湯
前回、お食事と客室編まで
横向温泉 森の旅亭 マウント磐梯 宿泊記①スタッフ好印象の昭和大箱温泉 客室とお食事編【福島】露天風呂を併設した大浴場が二か所。深夜0時頃に男女入れ替えされます。うれしい24時間入浴可能。有料の貸切風呂:八幡太郎隠し湯もあるけど、宿には悪いけど当日は大浴場もがらがらで独泉だったので大浴場のみで満足。
加水なし、加温なし、循環ろ過なし、消毒なし、入浴剤なし の通知表だとオール5みたいな温泉、優等生。
大浴場 会津八湯
チェックイン~24時まで女湯だったのがこちら会津八湯。
入り口の脇には、横向温泉と中ノ湯別館 磐梯荘の表札・木札。コンクリの現代ホテルなのに歴史あり、の雰囲気です。早速温泉へ~。
脱衣所は十分な広さ、コロナ対策で籠は間引きしてあります。
正面の温泉分析表、いつのものか記載がないのが残念。リュウマチスって呼んでた頃の。
脱衣棚の上に、昭和55年に記された元湯中の湯旅館十三代目当主の舌代り(口上)あり、反対側にも詳細ありずっと見上げて首が痛くなりつつも歴史を知れる。十三代目は熱心だったのでしょう、というか昭和成長期真っ只中、の当主。
『八幡太郎義家一行の奥羽征伐時に、弓で目を射られた白蛇が岩の割れ目から湧き出る湯で傷を癒していたことにより発見された温泉。中の湯旅館が火災焼失の8年後昭和6年に再建、その後、別館磐梯荘、ユースホステル磐梯荘、さらに昭和45年にホテルマウント磐梯を新築した』とのこと。温泉発見伝説に動物はつきもの、ここ横向温泉は白蛇ですって。
『女人横臥(臥床じゃなくて敢えて横臥と記載してある)の局部様の處より湧き出るので横向の地名発祥』だそう。脱衣所でぷぷっと噴いてしまいました。むかしのヒトは大胆だなあ。
というわけで、やはり中の湯とここマウント磐梯の経営は一緒ということで、中の湯の入浴も可能になっているようですが、当日は余裕なく足を運べませんでした。もったいない。
内湯
三面ガラス張りの明るい大浴場ですが、うち一面(左側)は客室から丸見えなのかシェードがさげられていました。浴室入るとふわっとアブラ臭充満。
八湯とはいうものの、深い湯船のある打たせ湯・寝湯・そして大きな浴槽二つ、なので4湯かしら。いずれも源泉は同じなのでちょっとアトラクティブにしてあるだけです。もともとは八種あったのかもしれませんね。
茶色い鉄分で変色した湯口からはドバドバというよりもザザーっと滝のように。湯の花はよくわからなかったのですが、湯口周囲の湯底には茶色い砂のようなものがすこしばかりざらつきます。おそらく析出した鉄分などでしょう。先の当主舌代で女人の**のようと称した湯口はこれのことか、はたまた別のものなのか。
あふれたお湯は縁からジャンジャンかけ捨て。この規模の宿・浴槽で消毒・循環なしで源泉かけ流しはパラダイス。無色透明の範疇だけど少し透過性が低下する程度の濁りもある。鉄っぽさと渋さを感じる味と匂い。ぬるっと感はありませんがつる・きし感あり。
打たせ湯と寝湯。
洗い場も計10カ所以上あり。団体客に対応可な感じの大浴場ですが、ほぼ独泉でした。ありがたい。
露天風呂 天授の湯
内湯からガラス戸を抜けてすすむと、檜ぶろが一つ。
湯船に入っていると見えないけれど、すぐわきの横向川のせせらぎ聞きながら湯浴みができるスタイル。
竹の湯口からは勢いよく注がれて、縁から贅沢にあふれ出ていく。光の加減もあるけどうっすらと潮汁、貝汁のような濁りがあるお湯。香りは内湯と変わらないけどこちらの湯口の方がぬるい感じがして湯船も入りやすかった。
ここの露天の位置、立っているとすぐ近くの橋からはよく見えてしまうので、油断禁物。仁王立ちはやめときましょう。
大浴場 子宝の湯
深夜0時以降はこちらが女湯になります。
内湯
大きなガラス張りの湯船と洗い場10カ所ほど。こちらもアブラ臭。もう一か所の大浴場よりは小さいけれど十分な大きさ。奥からかけ流されて、風呂枠からあふれて惜しげもなく捨てられていく。分析表によると源泉58度、加水もないのに熱すぎることもない。
丸い石の真ん中が湯口、噴水のように途切れることなく湧き出し。青と白のタイル敷きの湯底や湯口周囲はすっかり赤茶色に沈着。赤褐色の土のような成分がざらざらと触れる。やはりここのお湯も少しだけ濁って見える。
内湯のガラス戸を開けると露天風呂へ続く階段。その階段を内湯からあふれたお湯が流れ落ちて川に~。まさにかけ捨て。水まき状態。
露天風呂 天恵の湯・梵天の湯
階段を下りた先に、まず目に入るのは岩露天の天恵の湯 しっかりと屋根囲いがされた湯船からは前面の緑がよく映えます。なんか額縁に入った画のように見える。
壁面に取り付けられた湯口から勢いよく温泉投入。
さらに階段を数段下るともう一つの岩露天、梵天の湯、こちらもしっかり屋根がついています。
かなりぬるめで少しよどんだ感じかなあ、と思ったら、湯口はこんな感じで一つ上の天恵の湯の方についている。
天恵の湯に戻ってみると、お湯はあふれ出ることなく、↓ここの隙間を排水口にしてアウトフロー。このお湯が梵天の湯に注がれているのかな。それで湯温も下がるはずね。
乗り出さないとすぐ目の前の川は見えませんが、音を聞きながらつかる露天は心地よい。向かいの山の斜面からつながる管発見、温泉の配管でしょうか。
温泉分析表から(平成30年11月)
ホテルスタッフによると、源泉は二つあるとのこと。『神の湯』の古い分析表は子宝の湯の方の脱衣所にあったものの、もう一つの分析表がどうにも見つからない。探してみたら純温泉協会のHPに最新の詳細な説明がありました。
【会津八湯・天授の湯・八幡太郎隠し湯】
源泉名:神の湯
泉質:単純温泉(低張性中性高温泉)
源泉:44.2℃
pH:6.5
湧出量:85.7L/min 動力揚湯
溶存物質0.6000g/kg、成分総計0.7454g/kg
【子宝の湯・天恵の湯・梵天の湯】
源泉名:恵の湯
泉質:単純温泉(低張性中性高温泉)
源泉:58.5℃
pH:6.5
湧出量:58.5L/min 動力揚湯
溶存物質0.9764g/kg、成分総計1.177g/kg
感想 この規模の大箱ホテルでかけ流しは貴重
予想通り、の昭和の大型ホテルなのは間違いなく、古い部分も多々あるけれど宿泊や温泉には全く支障がありません。フロント始めスタッフの方々も皆感じよく丁寧、大箱宿にありがちな雑な感じもありませんでした。
素泊まりも積極的に受け入れているお宿、登山やスキーのお宿にもぴったり、おすすめです。ただし、周囲にコンビニや飲食店は全くありませんのでその点は注意。鄙びた温泉でも秘湯でもありませんが、団体さんとバッティングさえしなければ大きな温泉・湯船を楽しめるかと思います。鄙びを求めるなら中の湯に行けばよし、ということで。〈宿泊2021年6月〉