伊達娘恋緋鹿子・平家女護島 文楽鑑賞教室12月 at 国立劇場小劇場

文楽鑑賞教室 令和元年12月

都合がうまくあい、初めての文楽鑑賞教室へ。東京では12月に毎年開催されているが、期間も短くなかなか行かれない。目当ての日時のチケットを観た際には空席少なく、わりと端っこにぽつぽつだったのが…当日行ってみて納得。全体の6~7割を占めるほどの高校生。さらに専門学校生くらいの集団、などなど。そうか、初めての方集団でウェルカム文楽という姿勢がメインなのだね、この鑑賞教室。

文楽鑑賞教室

上演時間

伊達娘恋緋鹿子 15分
解説 文楽の魅力 32分
〈休憩 15分〉
平家女護島 60分

演目・演者・あらすじ

当日はAプロ、豊竹呂勢太夫休演につき竹本千歳太夫さんに変更

12月文楽鑑賞教室 演者

伊達娘恋緋鹿子  だてむすめこいのひがのこ 火の見櫓の段 

前略…八百屋のお七は恋人吉三郎のために剣を手に入れ、それを渡そうと画策するも町の木戸は全てしまっている深夜帯。そこで火事となれば木戸が開かれるのを期待して、火の見櫓に登り半鐘を打ち鳴らそうとする…

平家女護島  へいけにょごのしま 鬼界が島の段

俊寛・平判官康頼・藤原成経が鹿ケ谷の陰謀で鬼界が島に流されてから三年という設定。成経と島の海女・千鳥とが恋に落ち契りを結ぶのを祝い、また、俊寛のことを父と思いたいという千鳥の希望も快諾し親子の契りを結ぶ。そこへ都から船がやってきて赦免使登場。三人と千鳥が乗船しようとすると千鳥は乗船拒否される。島に残され嘆き死のうとする千鳥を自分のかわりに乗せてくれと俊寛が頼むも断られるが、赦免使・瀬尾を殺して再び罪人となり俊寛自らただ一人島に残ることになる。

妻も既に殺され都への未練を断ったつもりの俊寛も、仲間が乗った遠ざかる船を岩によじ登って見つめ続ける…

感想 強制鑑賞教室の寒さ

伊達娘恋緋鹿子 火の見櫓の段 のキャッチーな演目から始まる。この段だけ見ると、昨年通しで見た時よりも物足りなさを感じてしまうのも贅沢なはなし。とざい、とーざいの呼び声の黒衣さんから普段とは違い、各演者もフレッシュな組み合わせだけど、紋臣さんのお七よかったなあ。

解説 文楽の魅力は、太夫、三味線、人形についての実演、解説。パワポらしきもので台詞をだしたり、説明を補足したりでわかりやすい構成。個人的には人形の所作、三人で作り出す動きについてが面白く、吉田玉誉さんの穏やかで、でも飄々とした感じが絶妙。次の作品、平家女護島についても結末をばらさない程度に簡単に解説し導入バッチリ。

はじめてみる平家女護島、流された三名の衣のボロっぷり、『嬢景清八嶋日記』の景清よりも一段とすさんでいる。実話をもとにしているが、近松が作った千鳥と成経の結婚話を経て一人島に残され地団駄をふみ、遠ざかる船を見つめて叫ぶ俊寛。和男さんと千歳太夫さんの熱演。千歳太夫さん、まったく手を抜くことなく細かいところまできっちり。

イヤホンガイドを渡されている高校生、開幕前は学校の休憩時間なみの騒々しさで、これ大丈夫かしら・・・と懸念したものの、一応幕が開けば鎮まる。しかし、まあ最初から全く観る気もなく寝に入る学生も多く、もったいないなあ。熱心に観るのが恥ずかしい年頃といえばそれまでだけど残念な集団。寝ている人が多いためか拍手もまばらでこちらが冷や冷や。こんな強制連行されてきた客相手に熱演…する気がしないよねえ、自分だったら心が折れる…と思うも、目が死んでる学生相手なんて毎度のことなのかな、と思ったりも。当日の強制観客のうちの一割でも、いや10人でもちょっと関心をもってくれたら成功なんでしょうけど。上演中静かだった(←当たり前)のでまあ、よしとしたい。鑑賞教室はどんな集団と一緒に観るかで雰囲気も多分に影響を受けるということがよくわかったけど、蓋を開けてみないとわからないのがつらい。

【チケット代】4,100円 薄い解説パンフレット込み 学生は1,500円ですって!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です