加温・加水・消毒なしのかけ流し温泉
前回、お食事や客室まで
沢渡温泉 まるほん旅館 宿泊記~美肌の湯を求めて①客室とお食事編【群馬】温泉は3か所、混浴大風呂、婦人風呂、貸切露天風呂。
貸切露天風呂以外のメインの湯屋は清掃時間10-11時以外は24時間入浴可、これはうれしい。チェックアウトは10時なのでぎりぎりまで入浴できるのうれしい時間設定です。
加水・加温・循環ろ過なし。消毒なしのかけ流し。
客室のある棟と湯小屋をつなぐエリアはお休み処を兼ねている、檜のカーブが心地よい空間。JCDデザインアワード金賞受賞のオサレ空間です。
ここから見えるのは、まるほん旅館の混浴大風呂湯小屋の屋根(手前 えんじ色)と、隣接する左奥は共同浴場の湯小屋。
混浴大風呂 ターコイズブルーに魅せられる
基本は混浴、というか男性風呂だけど希望すれば女性も入っていいよ、という感じ。ただ女性専用時間も19:30ー21:00、6:00ー7:00で設定されているので気兼ねなく湯浴みすること可能。タオルや湯浴み着は利用できません。
客室のある建物とは全く別棟の湯殿へ。ワクワクするけど転ばないように気を付けながら階段を下り渡り廊下をすすむと、
総ヒノキの湯小屋の入口へ。その先の階段を下ると脱衣所、そして湯船。
上からのぞくと左側に大きめL字型湯船一つ、
反対側に小さめの湯船一つ。
ターコイズブルーの敷石と周囲に放射状に敷き詰められた檜が美しい湯小屋、覗いただけで先ず感動で目が輝いてしまう。屋根も高く、窓も開けられ換気しっかりなので湯気こもっておらず気持ちが良い。昭和22年建築の味わいのある湯屋で温かみも感じる。敷石の感じはどことなく大正ロマン調でもあるけど。
高い位置にある窓からの光がちょうどいい具合に差し込む湯小屋。洗い場・シャワーは廊下・階段の真下に一つだけ。脱衣所は階段の奥に見えている一か所と反対側にもう一か所でほぼ丸見えです。
壁も天井も総ヒノキ造りの贅沢な湯小屋。
湯口から投入されたお湯はあふれて手前の方からかけ捨てられていく。
まるで石臼の上下の裂け目のような湯口からトボトボと。周囲は白い析出物でゴリゴリ。ゴーレムの口元のようでもあります。
お湯はほどよい温度になって41-42度といったところ。無色透明なお湯は決して熱すぎずぬるすぎず、加水もなく調度よい。味はしないけどわずかにたまご臭。pH8.5のアルカリ性だけど、ぬるぬる感はなくなめらかつるんな感じ。
透明なお湯の中、カッテージチーズや湯葉のような白い湯の花がふわふわしたり沈んだり。
もう一つの湯口は違うスタイル。木枡の中に一旦貯められたお湯が注がれてくる。
とぼとぼと注がれたお湯が湯船からあふれて静かにかけ捨てられていく。趣のある湯小屋でお湯の音♪♪いいなあと思いながらぼっとしていると、ヒトの声がしてドキッとしたり。誰か来たっと思ったら隣の公衆浴場の声音だった、ということが何度かあった。そのくらい静寂の空間で隣と隣接した建物。
混浴は苦手、とくに無色透明のお湯は難易度高く普段だったら女性専用タイムだけになりがち。ただ、当日の夕食会場ではどのテーブルも日本酒ガンガン頼んでいるではありませんか。キャッハーしそうな若い男性もいないし、これは夜間もラッキータイム!女性専用時間が過ぎてもしばらく安泰のはず、と読んでツレと満喫しました。もちろん素泊まりのヒトもいるでしょうから読みが外れるかもしれませんが、まあお客さんもそれほど多くないし入浴可能時間が長いので単独湯浴みが可能な雰囲気です。
婦人風呂 モダンなオシャレ空間
婦人風呂にももちろん行ってみます。19:30ー21:00、6:00ー7:00は混浴大風呂と交換で男性専用になります。2015年にリニューアルされた湯小屋。
籠が6つほどの脱衣所に洗面所は一つだけ。脱衣スペースと浴室の間に扉はありません。
決して大きくはない白御影っぽい湯船、男性二人で湯浴みは厳しそうな雰囲気。寝湯を楽しめるようにカーブをつけられているけど頭がいまいちフィットせず。湯枕がほしくなってしまった。
間接照明と隙間から入りこむ光で温かい落ち着く空間。まさにデザイナーズブロ、だけどギラギラし過ぎないところが何とも言えない味わい。
洗い場は両側に一つずつの計二つ。二人利用までが限度に感じる大きさのこじんまりとした快適湯小屋。
美しいきゅいーんと曲線の天井、天窓から外光を取り入れて暖かな雰囲気。このカーブはさっき通ったお休み処の背面カーブ、面白い。お休み処が二階でこの浴室が一階になっている。
フロントにあった婦人風呂模型、文章で説明するよりわかりやすい。見事に二階建て、空間有効利用。
貸切露天風呂
なんとか空きスペースに作った感のある湯船。入浴は15-22時まで可能。鍵が開いていれば内鍵かけて貸切にできるスタイル。青森ヒバの浴槽だとか。
他の二つの湯船に比べると…なんだかとってつけた感も。
やっぱり混浴大風呂がいいので、あっちに行こう。
温泉分析表(平成29年11月)から
沢渡温泉の源泉はいろいろ揉めた後、県が所有。そこから分湯のスタイル。源泉は大風呂のすぐ裏。
源泉名:沢渡温泉(源泉名:県有泉)
泉質:カルシウム・ナトリウムー硫酸塩・塩化物温泉(低張性アルカリ性高温泉)
源泉:55.1℃
pH:8.5
湧出量:161L/min 動力揚湯 →まるほん旅館分湯20L/min
溶存物質1.09g/kg、成分総計1.09g/kg
感想 情緒ある湯小屋で湯浴みを堪能
写真で見ていつか訪れてみたいと憧れていたまるほん旅館、期待通りの、期待以上の湯屋と温泉を楽しむことが叶いました。どこかの記事で、後継者がいないまるほん旅館の養子になり銀行員から転職されたのがいまのご主人一家だとか。いやーこんなにいい温泉を残してくれてありがとうございました。と言いたいところけど恥ずかしいので心で思うことにしておきました、感謝。ただ、淡々とした接客(決して無礼ではなく)で放置系なので、ほすぴたりてぃーなんかを求める人には向かないお宿であるのは確か。コロナ禍だからかもしれませんが、ご主人とおかみさんしかお見かけしなかったので完全に家族でできる範囲でやっていらっしゃるようす。
素敵な風情のある湯屋やいい温泉がいつの間にか閉業してしまうのは珍しくなくない中、がんばってほしいと思うお宿、もう少し近かったら頻繁に通えるのになあ。欲を言えば、大風呂の女性タイムをもう少し、でなくもっともっと増やしてほしい。異性がいないとしても混浴への入浴はなんだかそわそわして落ち着かず、せっかくいいお湯に入ってもリラックスできないので。
エレベーターはないので客室に上がるのも温泉につかるのも階段必至温泉。ステキな昔ながらの湯治宿は階段避けられないのが世の常。というわけで足腰が効く間にまた行かねば。〈宿泊2021年5月〉