横向温泉 下の湯 滝川屋旅館
福島の横向温泉、磐梯スカイラインに向かう上り道に沿って上の湯・中の湯・下の湯の三湯あり。そのうちの下の湯に今回は宿泊です。上の湯に位置する森の旅亭 マウント磐梯 に続いての横向温泉。
こちらのぬるゆ・趣のある湯小屋に前から憧れていたのですが、寒い時期にぬるゆは厳しいうえに雪道は運転できない、ということで自分にとっては季節限定のお宿。やっと泊まることができました。
県道70号から横道にそれてすすむとおそらく既に滝川屋の敷地。ネットの記事で眺めていた滝川屋の建物が目に入ります。
横向温泉 滝川屋
【住所】福島県耶麻郡猪苗代町若宮下湯甲2970
【TEL】0242-64-3211
駐車場も見当たらないので、邪魔にならなそうな場所にとめて。温泉マークのついた素敵な玄関に到着です。なんだかワクワクする。ガラガラっと引き戸を開けて入ります。
玄関入ると巨石どーん。古い建物がびくともせずにいるのは、この巨石が柱の役割もしてるんでしょうか。
清潔、ピカピカに磨かれた床に古い調度品もいろいろ。
宿主のご夫婦と一緒にかわいいワンコのお出迎え。ケンシロウくんと呼ばれている招き猫ならぬ招き犬、11歳。猿を見かけると吠えて追っかけていってしまうとかで紐につながれていました、犬猿のなんちゃらってとこでしょう。滞在中は全く鳴き声を聞きませんでした。
いつのものかは分からないけど『りうまちす』時代の古い温泉分析表。『本泉発見 寛文元年』って、えっとー、1662年?
登記は明治19年頃だけど、それ以前から運送業を営んでいた祖先が温泉を発見、利用していたらしいとのこと。こんな歴史のあるお宿に宿泊出来て感激。
客室 清潔な二間和室
一日二組限定とか、いやいや一組だとかいろんな情報があるけど、HPがなく確認方法は電話のみ。電話の問い合わせや予約は時間を選ぶのでちょっと苦手ですが、えいやっと電話。おかみさんが丁寧に応答してくれます。
コロナ禍なので一日一組限定、その分価格上乗せ気味なのかわかりませんが収集した前情報よりは多少価格が上がり24,230円/人(税込)+入湯税150円。ふだん宿泊するお宿に比べると高めゾーンなのでちょっと迷いますが、一日一組でその価格は高くないのでは?と気づき予約です。だってこんな立派な旅館を貸切ですもん。
通された客室は二階の角部屋。12畳・4畳の二間続き+広縁の風通しのよい客室です。コロナ対応のためか、お布団もすでに敷いてあるスタイル。周囲見下ろすと緑・緑、当日蒸し暑かったものの清々しい風が入り込むいいお部屋。客室にクーラーはなかったけど、このお部屋なら真夏でもなんとか行けそうな気がする。まあ、熱ければ湯船にドボンで解決でしょう。最初の外観図の左側の白い建物、建て増し部分の端にあたります。
お茶菓子はお手製の栗の渋皮煮、もちろん美味しい。ポットや冷水あり、お茶・珈琲等各種用意してあります。
タオルはお持ち帰りできないタイプ、残念。
金庫も完備で長湯問題なし。
客室からはお隣の湯治棟や敷地の水車小屋も目に入ります。ご主人のお兄さんが料理の腕を振るっていた際にそば引き用に作ったけど、内側までは完成していないそう。元は卓球場だったというのが湯治場らしい。
洗面所やトイレは客室にないので共同、といっても他にお客さんいないので貸切ですが。古い柱などを残しつつも改装してあり清潔、ウォシュレットもあり。
レトロな館内
一組しか宿泊していないのに、とても広い館内。扉の空いているところはのぞいても大丈夫とのことでぐるっと探検。
真ん中の飛び出た湯治棟もまだ現役らしくきれいにしてある。柄のついた懐かしい感じのすりガラスが建物の雰囲気と良く合います。
年余を感じる部屋番号の木札『貮拾参番』。ご主人が幼少の頃は十数名の仲居さんが働く湯治場で、多い時には雑魚寝状態の時もあったとか。
調理場もまだまだ現役感。
本館のほうがレトロ感は増し利用されていない感じだけど廊下はぴかぴか。廊下にはめ込まれた階段がどこか懐かしい。
『瀧川屋フォトギャラリー』と名付けられた一室に興味深い古い写真いろいろ。そのなかに作詞家 丘 灯至夫の勲章を付けた写真あり。ここ滝川屋に何度か湯治に訪れていたそう。丘作詞・古関裕而作曲の『高原列車は行く』のモデルはかつてこの辺を通っていた磐梯急行電鉄なんですってね。
夕食
一階の個室で。一組だけなのでリクエスト時間で開始してもらう、贅沢。ご主人がお皿運んでくださいます。
椅子の真横にお櫃とポット。立ち上がったりせずに存分にご飯よそい放題。
ネギや山菜が存分に入ったコクのある鳥鍋。
山椒たっぷり乗った身欠きニシン、ホタテのお刺身、じゅんさいの酢の物、うるい、ミズと干鱈?のような干し魚。器もいろいろ楽しい。
暖かい根曲がり竹もやってくる
山菜中心の天ぷら。一つ食べた後で慌てて写真をとる。ねまがりたけ、やまぶどうの葉、わらび、うど等。
牛肉とお野菜の鉄板焼き
ラストにデザートのこだまスイカ。
もう、いろんな山菜が楽しめる。しかも美味しい。山菜詳しくないので聞かないとわからないのだけど、下処理が大変なことくらいは分かります。先代の頃からお手伝いにも入り味を受け継いだ女将さんの指・爪はすっかり黒くなって働きもののそれでした。あっ、もちろんご主人も働き者のはずです。
朝食
和食の朝食もリクエストしたお時間で。ゆっくりと8時半に頂きました。『会津の小さな喫茶店ヨーグルト』つき。
おさげ髪の女の子がほほ笑む『会津のべこの乳』やコーヒーを自由にいただきます。
さあ温泉へ~
横向温泉 滝川屋 宿泊記②至福のぬる湯につかる温泉編【福島】