人形浄瑠璃文楽公演 9月国立劇場小劇場 第二部
9月公演はこの第二部の嬢景清八嶋日記が観たかった。話の強烈さ、のみでなく人形のインパクトもなかなか。赤い目をむき出しにします。
上演時間
花菱屋の段 16:00-16:43/日向嶋の段 16:47-18:00
〈休憩 25分〉
艶容女舞衣 酒屋の段 18:25-19:52/道行霜夜の千日 19:56-20:16
座席 見え方
9列目 下手端のほう。まあ問題なし。9割くらいの入りで空席あり。
嬢景清八嶋日記・艶容女舞衣 演者・あらすじ
あらすじ ちらしより
嬢景清八嶋日記 むすめかげきよやしまにっき
悪奈七平衛景清は、平家を打倒した源氏への復讐のため、大仏開眼供養に訪れた源頼朝の暗殺を企て、捕らえられます。源氏全盛の夜を迎えることを良しとせず、自らの眼を抉り取り、日向国で世捨て人として生涯を送る景清。その娘・糸滝はそんな父を案じ、自らの実を売って金を整え、海を渡ってはるばる日向国まで訪れるのですが…
艶容女舞衣 はですがたおんなまいぎぬ
大坂上塩町の酒屋・茜屋半七は、芸人である三勝と深く馴染み、妻を置いて出奔、殺人の咎まで負ってしまいました。二人の間に生まれた赤子を預けられた茜屋では、黄昏の中に嘆きの声が響きます。「今頃は半七様……」で広く知られた半七の妻お園の述回を始め、半七の身を案じる、残された人々の吐露が心に染み入る名作です。
感想・おぼえがき
まいど、女子供をなんとも思っていない男たちです……。が、どちらもわかりやすい筋書き
嬢景清八嶋日記
忠義・仁義、わが子よりもわが君主 平重盛だけが大切。花菱屋の段 、織太夫・清介さん、登場人物がよくしゃべる、ちゃっちゃと語り口が切り替わり見ごたえあり面白い。”日向の国宮崎”に住む父親に会いたい娘が交渉をして、身売りされた割にはなんだか前向きな明るい旅立ち。一転、日向嶋の段は曲調もかわり、長いこと隠遁していた景清が荒れた肌・ぼろを着て登場するものの重厚感あり。盲目(しかも自分で目潰し、春琴抄かっ)の主人公・景清は怒ったり慟哭したりと激しい。千歳太夫さんの何かが切れてしまいそうな迫力のある語りと玉男さんの繊細かつ大きな遣いで濃厚な時間。筋はともかくとして楽しめた。
艶容女舞衣
今回のダメんず半七は結婚前から親しい女との間に子をもうけ、人を殺し、そして心中。中レベルのイタイ男です。道行の場面、半七・三勝の最後の場面はなんと刑場、晒首が二つ並ぶ。半七が三勝の胸を刺し、自分ののどを掻き切り七転八倒した挙句に、もたれかかった井戸のはねつるべがパーンッと跳ねたりとなかなか激しい演出の二人の最期。こういった道行もあるのですねえ。
ほぼ2時間ずつの演目。どうにも長いんですよ。一幕が二時間という舞台ってあまりない。長くても90分前後かと。ちゃんと観たいし楽しみたいけど集中力もそう続きません。嬢景清八嶋日記だけの公演にするとか、嬢景清八嶋日記はすでに端折っての公演なのだから、日向嶋の段だけ+艶容女舞衣にするとかって無理なんでしょうか。細切れの三部公演の長さがやはり自分好み。邪道いわれればそれまでですが。
嬢景清八嶋日記を観終えて、吉右衛門の11月歌舞伎も見てみたいなあ、と思いながら9月の文楽鑑賞終了。
【チケット代】一等 7,300円