人形浄瑠璃文楽公演2月 第二部 大経師昔暦 だいきょうじむかしごよみ
9割ほどの客入り。ちらほら席空いていたかな。おさん・茂兵衛がお出迎え。
上演時間
大経師内の段 1時間5分
休憩 20分
岡崎村梅龍内の段 1時間2分
奥丹波隠れ家の段 23分
14時半開演 17時23分終演
座席 見え方
10列目の左はじ(下手)の方。全体を見渡すにはいいのだけれど、舞台下手での人形遣いが結構ある。屋根からおりてくる場面・寝所の場面は、見切れたり格子戸が邪魔だったりで非常に見にくい。ここは見きれ席ではないのかしら?というわけでこの演目で今回と舞台設定が同じなら、下手端っこはおすすめしません。下手がちらほら空いていたけれど、もしかすると電話口で購入するとすすめられない席だったのかしら。
字幕は両サイドにあり。
演目 大経師昔暦 あらすじ・演者
作 近松門左衛門
大経師内の段/岡崎村梅龍内の段/奥丹波隠れ家の段
感想・おぼえ書き
姦通物、というすごい響き、ジャンル。暦屋の妻さんと手代茂兵衛が姦通した罪で、仲立ちした玉と共に捕まり粟田口で処刑された実話を近松が脚色。
冒頭で鈴を鳴らして猫が登場。猫に対して「男持つならたった一人持つものぢゃ、間男すれば磔にかかる、女子のたしなみ知らぬか」「粟田口へ行きたいな」などと語りおさんの行く末を暗に示す大経師内の段から始まる。猫はただの友情出演ではないのだ。
おさんと茂兵衛が相手を気づかずに姦通の罪を犯してしまう。恋愛感情なんてなかった、ただのアクシデントとして描かれる。茂兵衛はともかくとして、夫じゃないことくらい、おさん気付けよ、と突っ込みどころ満載なんだけれど、まあそこが面白いところなんでしょう。そもそも、相手をとり間違えて寝床を一緒にしてしまう、なんてことが珍しくなかったのか、それともこういった事故のようなハプニングを内心どこかで期待していたのか(まさかっ)、当時の庶民生活・意識を想像してしまう。
灯りがさした中で、おさんと茂兵衛が間違いを犯したことに気づいて一幕目の大経師内の段が終わる。相手が違っていたことを驚き慌て「はあっ!」「はっ」と一声出て終わる。真っ青になるシーンなのに、なんだかくすっとしてしまう。「はあっ」じゃないでしょ、あなたたち。でもこの場面での幕切れは『次回に続く』といった様相でとても現代的で強烈。当時のヒトも幕間にああだこうだ話して盛り上がったのかしら。
おさんや茂兵衛、玉の首をとった梅龍(「七十にして早まった仕損じた」と後悔しても、仕損じっぷりがひどいです)とも間・タイミング、運の悪い人たちだなあという描かれ方。ストーリーはわかりやすい。最後の一幕以外は始終暗い舞台(手元で床本は全く読めない)でなんだか眠気・・に襲われやすいので注意。
いつも人形は指先まで気を使った所作で、それが女性らしくみえる大きな要素だと思ってたのだが、縄に縛られている玉の動きがなんとも女性そのもの。両腕が効かない中でも女性にしか見えないのだ、恐るべし。
最初の大経師内の段のみ、顔出しなく皆さん黒衣。その後は主遣いの顔出しあり。
【チケット代】一等席 6,000円