横向温泉よこむきおんせん 滝川屋
客室とお食事まで
横向温泉 下ノ湯 滝川屋 宿泊記①清潔客室と館内~お食事編【福島】ぬる湯に期待して訪れた滝川屋、どうやら2011年の東日本大震災で源泉温度が低下、さらに2021年2月の大きめ地震(東北新幹線がしばらく運休)のあとにも湯温が低下したとのこと。現在の源泉温度は31.9℃。地震で湯温が上がってしまったという温泉もあるので不思議です。温泉も大地の恵み、生きもの。さらに下がってしまったら鉱泉としてがんばってもらいましょう。
足元湧出のぬるゆ温泉
混浴と女湯の二か所あり。われわれ一組しかいないので、混浴を好きなだけどうぞ、ということで存分に満喫させて頂きました。食事と睡眠以外は風呂!というくらい贅沢に。夜間も入浴可でチェックアウトの11時まで当然入りまくりです。
一階から階段を下りて温泉へ
かわいらしい安達太良登山口の案内を見ながら下ります。いつ頃の案内図かな。
スリッパを脱いでさらに階段を下る。湯治系のいいお湯によくある階段必須系です。この辺り改装されており木目の美しい新しい壁と床。右に行くとメインの混浴、左が女湯の岩風呂。
脱衣所も改装ずみ。6月だけど暖房器具完備です。温泉から上がるときがちょい寒い、涼しい日にプールから上がるときのあの感覚です。
脱衣所の鏡、目立たない色で控えめですが大好物の柏屋薄皮饅頭の広告ではありませんか。『湯上りをまづ薄皮で 茶をいれて』ですって。古い温泉宿の鏡はおもしろい。
引き戸をあけて入ってみると、期待通りのすてきな湯小屋と湯船。ここが一晩自分専用になるとは、なんて贅沢なんでしょ。3つに分かれた湯船のうち、右奥にだけ加温された温泉が注がれ、湯船の足元からはぶくぶくッと涼しいお湯が湧き出てくる。加温湯が右奥→左奥→手前の順に流れて右手前の方からあふれ出していくので、湯温もその順に下がっていく。6月の時点だと手前の湯船はやっぱり寒い。アタクシの好みは左奥、ツレは右奥。左奥は湯船も狭くてすっぽり一人サイズでなんだか落ち着く。消毒・加水・循環なしの足元湧出、注ぎ口だけ加温の湯船。
湯口からは絶え間なくボトボトと。アブラ臭がふわんと漂う湯小屋だけど、この湯口のお湯はなぜかたまご臭がする。
湯の華いっぱいの湯底に湯穴、足元から湯が湧き出ている。時折ぼこぼこっとエアがでてくる部分もあり生きてるいる。
レトロな窓枠から光が入り込む。シャワー一つ、シャンプー類備え付けあり。古い湯小屋だけど石鹸類が利用できるのはうれしい。
お湯に光も反射して
てらてらと光る湯縁も美しい
赤茶色の湯の華がふわふわ
この湯の華なんかもう雲丹?
ウニくずし~
脱衣所の方を見ながらお湯につかって。
湯屋の左奥の小さい木枠にぷくぷくと湧く温泉、『この湯は眼に良いですよ』と木札。こちらもぬる湯。
ぬるゆ好きにはたまらないお湯を独泉。他に何もない、誰も居ない場所で注がれるお湯とあふれてゆくお湯の音だけが響く空間、心地よくて30分なんてあっと言う間に経過してしまう。居眠りしてしまいそうになるほど。
一昔前までは混浴として利用されいた湯屋。決して大きくもなく大人数で入れるような湯船でもなし。ここで知らない人と混浴は無理だなあ。
女湯 岩風呂
階段で反対側に下ったところにある岩風呂ものぞかせてもらう。
ごつごつした岩に囲まれた湯小屋。
小さな湯船の蓋をあけてみると、ウニがびっしり。こちらもお湯があふれ出てちょろちょろと。加温していないこともあるけどここのお湯はかなり冷たい。真夏限定かな。
外から見ると納得、岩が壁にめり込んでいる、というか岩がある場所に湯小屋が建てられたもよう。この岩も壁の一部と化しています。
温泉分析表(平成29年3月)より
源泉名:下の湯
泉質:単純温泉(低張性中性低温泉)
源泉:31.9℃
pH:6.5
湧出量:62.4L/min 自然湧出
溶存物質0.5824g/kg、成分総計0.8203g/kg
源泉名:長命の湯(岩風呂)
泉質:単純温泉(低張性中性低温泉)
源泉:31℃
pH:6.4
湧出量:5.1L/min 自然湧出
溶存物質0.5778g/kg、成分総計0.8201g/kg
感想 重厚感のある湯屋と温湯を堪能
趣のある古い湯小屋が予想以上に居心地よく、何時間いても飽きることのない温泉を堪能。味のある温泉・湯小屋をチェックしていても、コロナの影響や後継者問題、震災などで閉業していることが珍しくない昨今、こうやって風格のある建物・湯屋を維持してくださっていることがうれしい。建物も温泉もご主人たちも温かく期待以上、ぬる湯三昧の宿泊となりました。一日一組だけど、なんだか距離が近くて気が詰まるということもなく適度な距離感の接客、でも質問するとにこやかにいろいろと教えてくれる優しい女将さんでした。
ご夫婦で可能な範囲で切り盛りされておりコロナ以前は一日二組限定にしていたとか。入浴時間を記載してもらいグループ毎に利用してもらうスタイルだったそう。もうこれからは一日一組継続でいいんじゃない?と思える、というかこの温泉で時間に迫られてたら哀しいかも。ぬる湯なだけにどれだけでも入れますからね。
近くに住んでいたら日帰り入浴に頻繁に訪れてしまいそうです。ぬる湯がうれしい時期にぜひ再訪したい温泉宿です。〈宿泊2021年6月〉