横手山頂ヒュッテ 雲の上のレストラン・パン屋さん
山岳列車やロープウェイの終着点に山小屋はもちろんのこと眺めの良いホテルがどーんと立っているのはヨーロッパあるあるですが、日本だとどうなんでしょう。ホテル千畳敷やホテル立山あたりが有名ですが、ほかにそれほどない印象(探せばあるのか?)。ホテルではないけれどここ横手山ヒュッテを以前見つけてその眺望に一目ぼれ、宿のキャッチフレーズ『標高2,307m 雲上の宿』に魅かれます。いつか行ってみたいという願いがやっと叶いました…が。
【住所】長野県下高井郡山ノ内町大字平穏7149-17
【Tel 】0269‐34‐2430
車でアクセスできるけど…遭難? 渋峠まで恐怖
横手山ヒュッテに向かう方法は三通り、
①のぞきからスカイレーター+夏山リフト
②渋峠から夏山リフト
③自家用車で自力でヒュッテまで(ただし宿泊者に限る)
この他に宿泊者であれば渋峠(冬は陽坂)までの送迎ありとのこと。今回は車移動だったので③の車、自力で行きますと伝えてありました。
しかし、真っ白。ガス―。当日はお天気がいまいちなことは承知していたのですが、これほどだとは。標高2,000mをちょっとなめておりました。国道292を渋峠に向かってのぼりましたが西側の谷間からガスが上がってくるようで真っ白しろの濃霧、しかも道路のすぐわきは断崖絶壁、谷間。反射板もほとんどないのも最悪、夕暮れ時も相まって恐怖のドライブです。もっと反射板つけてくださいー! ほんとうに我らたどり着けるのか?
対向車線のすぐわきが崖、谷、というわけで対向車がセンター割ってはみ出てくること必至。おそろしいよー。
前のめりになって必死に運転しました、ツレが。がんばれー。
渋峠あたりに到着するも付近真っ白で横手山ヒュッテまでの入口がわからず右往左往で既に遭難した気分。車を降りて手探りで(というかそんな気分で)なんとか見つけたゲート、やっとヒュッテに近づけたみたいで一安心です。チェーンを手動で開閉してゲート内に入ります。
ここからは宿専用道路なので対向車もほとんどいないはず、さらに国道側に比べて霧も薄くて運転も多少ラクに。
やっと到着~、命からがら到着する山小屋はこんな感じか~(ちがうっ)
それにしても雲の中を進むような行程、数年前に摩周湖の周辺道路で夜間濃霧の中車を走らせたことがあるけど、それと同じくらいに生命の危機を感じた一時。あと一時間遅かったらさらに条件悪化、アウトでした。あー、ごめんなさい。これからはもう少し早めの行動を心がけます。
やっと到着したヒュッテ、ようこそとお出迎え。こちらこそよろしく。
すでに宿泊者オンリーの時間でしたがフロントの隣は食堂やパン販売のカウンター、手前に外来食堂用のテーブル席が広がります。宿泊名簿が昔ながらの台帳(一枚ずつ切り離せない帳面)だったのが印象的、今どきめずらしい。
客室 和室・トイレ付
二人で利用、一泊二食 13,200円/人、支払にクレジットカード利用可なのはうれしい。宿泊したのは和室、清潔、ちゃんとテレビや金庫もありました。
入り口わきにトイレ、洗面スペースもあります。水回りはちょっと古いにおいがしたかな 。
備品は手ぬぐいタオルのみ。バスタオルや浴衣、歯ブラシなどのアメニティありません。客室にも浴室にもドライヤー見当たらず(借りられるのかは不詳)、シーツ、枕カバー置いてありお布団はセルフで敷きます。そのあたりはやはりヒュッテ、山小屋なのです。
浴室などなど~禁煙です!
浴室は男女別、当日は宿泊客が少ないこともあり一か所だけ利用できる状態で、時間指定で家族風呂として入りました。シャワー二か所の洗い場、浴槽。
400メートル下から組み上げている貴重なお水です。
客室前の廊下にはこんな貼り紙が…『山頂での火災は全焼を待つだけです Imagine that sight… 』ストレートな脅し。。これだけ言っても吸おうとする人がいるのかなあ。
館内はエレベーターありませんが、一階分の階段の上がり降りは必須です。
夕食 ~パン包みシチュー
朝・夕食ともに宿泊者専用食堂にて(写真は朝)
窓から見える景色があまりにも残念なもんで、箸袋の山々を眺めながらお食事を頂きました。
ピザトースト二人前、結構ボリュームあります。
きのこ?、じゃなくてクリームシチューのパン包みです。もっちりパンが美味しく、当日は9月でも夜は冷え込んでたのでほくほく温まります。
メインはポークソテー。他に小鉢二つ、サラダ。
最後に食後のコーヒーと果物を頂きました。
よくみたらテーブルや椅子にパン包みシチューが…
食堂の奥には浩宮様の若かりし頃のスキーウェア姿のお写真なども飾ってありました。最近、自分の行くところ行くところ皇室の形跡が残っておりまるで皇室探訪のようになっているのが不思議なところ。
ちなみに客室にはポットや湯沸しがありませんが、食堂にある給湯器・給水器は宿泊中自由に利用できます。
朝食 ~焼きたてパン
朝食は7時半~、期待していた朝も外はガッスガス。多少明るくなったものの、せっかくの窓辺のお席からも何も見えませ~ん。
朝からこんな山頂で焼きたてパン!
朝のプレート:ソーセージ、スクランブルエッグ、サラダ
この他にヨーグルトとコーヒー頂きました。ごちそう様でした。
感想 早めに到着しましょう
わりと旅行・天気運がいい方なので、天候不良の予報が出ていてもどうにかなることが多いのですが、今回は全くその錯覚・思い込みが通用しませんでした。雲上の眺めの良いヒュッテを期待して訪れたのですが、雲上というよりも終始雲中・霧中。まあ、天候ばかりは選べませんので仕方ありません。こんな霧の中を走ることになるかもしれませんので車で行かれる方は早めに向かいましょう。
というわけで焼きたてパンをはじめとするお食事は楽しめたけれど、このヒュッテの良さを十分に堪能できていません。またリベンジしなくてはいけない宿が増えてしまいました。次はいつ行こうかな。〈宿泊2020年9月〉